2021
06
11
よもやま話・第2話  後悔しない弁護士の選び方 ~初めて依頼する方へ

第1話を書いてから4年も経ってしまいました。第2話に到達しないまま終わってしまいそうなところでしたが、引き続いて第2話をお届けすることにしました。

1 セカンドオピニオンを求められる中で、依頼している弁護士との関係を清算できないだろうか、と聞かれることがあります。思うように活動してくれない、連絡をくれない、高飛車な態度で我慢することができない・・・などのご不満があるようです。

弁護士との依頼関係はいつでも解消できることになっているのですが、これまで依頼していた弁護士に「やめてください。」というのは勇気が要りますよね。清水の舞台から飛び降りるような気分でしょうか。しかも、それまでの費用が無駄になってしまう可能性もあります。それは双方にとってストレスのかかる不幸なことです。

それでは、最初から自分にとって最適の弁護士を探し、依頼するにはどうしたらよいのでしょうか?
私の答えは至って簡単明瞭です。
複数の弁護士に相談する(・・・・・・・・・・・)
ことです。

2 弁護士にアクセスするには、

①インターネットで検索する
②札幌弁護士会で法律相談を受ける(札幌弁護士会は、2013年から、全国の弁護士会の中で唯一、原則全面無料相談を実施しています。)
③札幌市・各区で無料法律相談を受ける
④法テラス札幌で無料相談を受ける(但し、一定の所得以下であることなどの制限があります。)
⑤知人・友人に紹介してもらう

などの方法があります。
これらの方法により、まずは複数の弁護士を選定し相談することをお勧めします。「複数」といっても時間や費用に制約があるでしょうから、抱えている問題について少なくとも「2人の弁護士に相談すること(・・・・・・・・・・・・・)」です。同じ内容の相談であっても、回答する姿勢、アドバイスの内容、必要となる弁護士費用の額や捻出方法(法テラスや弁護士保険を利用する。)、場合によっては事件の見通しに違いが出ることもあるでしょう。これに、インターネットなどで一般的に得られる弁護士情報を参考にして、どちらの弁護士を選ぶのかを決めると良いでしょう。比較対照することによって、弁護士に関する理解が深まり、選ぶべきでない弁護士に依頼してしまう不幸な事態を避けることができます。ただし、どちらの弁護士にも疑問符(?)が付く場合には、第3の弁護士を探すしかありません。
なお、弁護士の広告が制限されていた時代に一般的であった⑤の「知人・友人に紹介してもらう」という方法ですが、どうしても他の弁護士を探すこと自体が申し訳ないように思ってしまい、紹介を受けた弁護士にそのまま依頼してしまうことになりがちです。しかし、紹介していただいた方にとっては良い弁護士であっても、自分にとって良いとは限りません。やはり自分を基準として、弁護士を選ぶべきではないでしょうか。

3 相談する2人の弁護士を選ぶ際のポイントに触れておきます。

⑴ インターネットの活用
インターネットで弁護士・法律事務所の情報を容易に得ることができますので、得た情報を元に、抱えている紛争・事件に適切な弁護士2人を選びましょう。人間関係のもつれ等が絡む複雑な事件は経験豊富な(一般的には「年輩」「弁護士歴が長い」)弁護士を、短期間の活動が決め手になる事件や急がれる事件では行動力のありそうな中堅や若手の弁護士を、特許、税金、医療過誤などの特殊事件はこれらの事件を数多く手掛けている専門性の高い弁護士を、同性に相談したい場合には男女の別に従った弁護士を、選ぶと良いでしょう。

⑵ 無料相談の利用
無料の相談であれば、複数の弁護士に相談することへの抵抗は少なくなると思います。札幌弁護士会、札幌市(各区)、法テラス札幌の法律相談は、原則として、無料で受けられます。ただし、相談は名簿に従った弁護士が担当しており、特定の弁護士を選ぶことはできません。特定の弁護士の無料相談を受けたいのであれば、インターネットで探すことになるでしょう。

⑶ 複数の弁護士がいる事務所か、一人弁護士の事務所か(大きな事務所か個人事務所か)
一人弁護士の事務所も良さがあると思いますが、多勢に無勢、複数の弁護士がいる事務所の方が安心だと思う方もいらっしゃるかもしれません。そのような事務所では、特に複雑な事件など複数の弁護士で対応したり、弁護団を組むなど柔軟な事件処理が可能です。

⑷ 費用の多寡
弁護士を利用する際の最大の関心事は、どのくらいの費用が掛かるのかということでしょう。相談を受ける弁護士がいる法律事務所のホームページなどで弁護士費用に関する記載を確認し、法テラスの代理援助(弁護士費用を一時的に立て替える制度)ができるのかどうか確認することをお勧めします。ただし、いくら費用が安くても、信頼を寄せることができないと感じる弁護士に依頼することは、良い結果にならない場合が多いと思われますので、控えられることをお勧めします。

⑸ 身近さ
もちろん、お住まいの地域に法律事務所を構えている弁護士が利用しやすいでしょう。しかし、インターネット環境が充実し、メールでのやり取り、WEB会議の利用などが可能となった今日、距離の障壁は解消されつつあると言えます。私も、多くのご依頼者とメールで打ち合わせをする機会が増え、首都圏の方からのご依頼も受けています。離れていても、特に不便はありません。

 以上、私の経験などを踏まえて弁護士の選び方をご披露しました。ただし、あくまでも私見であることをお忘れなく。

弁護士 長田正寛