2023
04
05
不服申立てには期限があります! ―家事事件編―

今年も春がすぐそこまでやってきました。

最近は、WBC優勝などの明るいニュースもありましたが、法律に関連したものでは、袴田事件再審開始決定に対する検察官の即時抗告棄却決定が話題となりました。

さて、今回は、裁判所の判断に不服があった場合のお話です。

控訴、上告、これらの言葉にどこか聞き覚えがあるという方も多いと思います。

これらはいずれも裁判所の判決について、確定前に、もう一度上級庁で裁判の当否を審査してもらうためのものです。

日本には、正しい裁判を実現するため、原則的に3回まで、同じ事件について反復審理を受けられるという三審制度がありますが、最近話題となった袴田事件の再審請求は、既に確定した判決に対する不服申立てですので、三審制度の例外と言われています。

再審請求が認められるには、法律上の厳格な要件を充足しなければならず、再審開始決定が出ることは、非常に稀なケースといえます。

刑事事件の再審請求と聞くと少し難しく感じてしまうかもしれませんが、より身近なところで、離婚事件や遺産分割事件などの家事事件についても、裁判所の判断に不服申立てをすることができる場合があります。

裁判所の判断と一口に言っても、判決・決定・命令・審判などの種類がありますので、その判断の種類に応じて、不服がある場合の手続きも名前が異なります。

家事事件での判断は、審判の形でなされることも多く、その場合の不服申立手続きとしては、抗告が考えられます。

そして、一番重要なことは、不服がある場合の手続きには、多くの場合、期限があるということです。

例えば、遺産分割事件における即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならないと定められています(家事事件手続法198条1項1号、86条1項本文)。あれやこれやと考えているうちに、二週間はあっという間に過ぎてしまいますね。

当事務所では、これまで多くの家事事件を取り扱ってきました。少しでも裁判所の判断に不明点・不服があれば、お早めにご相談いただくことをお勧めいたします。

弁護士 富所恵未