2022
02
08
破産申立てする際のネック

債務が多額になり、支払いが困難になった方が相談に来られた際、自己破産、個人再生、任意整理という3つの手続きをご案内することが多いのですが、「自己破産」という手続きに抵抗感を示される方は一定数いらっしゃいます。

まず、自己破産について躊躇される方がよく心配される「自己破産したことが周囲に分かってしまうのではないか。」という点について、ご説明します。

とても多くの方が、このような質問をされます。

誤解をされている方もいらっしゃいますが、破産した事実がご自身の戸籍謄本や住民票に載ることはありません。また、破産したからといって会社や友人などに連絡がいくということもありません。

ただ、正直なところ、周囲に分かってしまう可能性が全くないとはいえません。

破産した場合、その情報は、官報という国立印刷局から発行される機関紙に掲載されます。また、官報に掲載された情報は、官報情報検索サービス(有料)で閲覧することができます。もっとも、一般的に、官報を確認する方はごく少数ですし、周囲の方が官報を見ていて偶然知るという可能性も非常に低いのではないしょうか。

次に、同居の家族に秘密にしたまま破産の手続きを進めるということを希望される方もいらっしゃいます。

この点に関しても、場合によっては、秘密のまま進めることが出来ることもあるというグレーな回答になります。

札幌地方裁判所の場合、破産を申し立てる方に同居家族がいる場合、同居家族の通帳などの資料提出が求められます。そのため、原則として、同居家族に秘密にしたまま破産の手続きを進めることは困難です。しかし、例えば、同居はしているものの、家計は全く別というときには、破産を申し立てる方のみの資料提供で足りることもあります。

このように、同居の家族に秘密のまま進められるかどうかは、その方の生活状況やご家族の状況によって変わります。

いずれにしても、まずは、不安なことを率直に弁護士に相談いただくことが重要です。

弁護士 横田亜季