2022
08
04
eスポーツと法律?

当事務所は、大通公園に面しており、外出するたびに大通公園にある五輪のモニュメントを目にします。そのモニュメントを見ながら、東京オリンピックは盛り上がったな、などと思いをはせていると、もう1年前のことであることや2年後には次のパリ大会が控えていることに驚きます。さらに、パリ大会ではeスポーツが公開競技になっていることについても、隔世の感があります。

このeスポーツですが、皆さんは、どんなイメージをお持ちでしょうか。若い子がみんなで集まってゲームをやっているといったイメージでしょうか。私自身、直に大会を観戦などしたことはありませんが、プロの選手が活躍していたり、今年の観戦者は5億人を超えるといった報道もあったり、とても盛り上がっているようです。特に、日本の選手は格闘技のゲーム分野で活躍しているようですね。

さて、そんなeスポーツ、一見すると法律とは無関係のように思えますが、実はeスポーツの大会の開催にあたっては様々な法律問題を含んでいるんです。

eスポーツの大会では優勝賞金が1億円を超えるようなものもあるようですが、参加者から参加費用を徴収し、その徴収した金銭を原資として賞金を捻出する場合、ゲームの勝敗という偶然の事情にしたがって、集めた金銭を分配するという構図が「賭博」に該当し、このような方法での大会の開催は刑法上の「賭博罪」に該当する可能性があります。

その一方で、賞金をスポンサーが準備すればよいのかというと、そのスポンサーがいわゆるゲーム会社でその会社のゲームを対象とする大会の場合には、景品表示法に抵触する場合があります。詳細は省きますが、簡単に言うと景品表示法では、商品に付随する景品(おまけ)は高価なものであってはいけないという規制があります。景品があまりにも高価なものの場合、正常な競争や消費者の適切な判断を邪魔することになるからです。そして、eスポーツの大会で対象となっているゲームを購入して練習する必要があるなど、eスポーツの大会の賞金にはゲームの購入を促す効果があることから、賞金がゲームという商品に対する景品と考えることができ、その結果、賞金の金額などによっては景品表示法に抵触する可能性があるのです。

このほか、ゲームセンターと同様に風俗営業法による規制の可能性もありますし、そもそもゲーム自体に著作権が認められるため、著作権者との調整も必要です。

このように、一見、法律とは無関係に思えることがらも、実は法律が深く関わっていることもあるんです。ただ、このような問題もクリアする方法はあり、今後、eスポーツがますます盛り上がると良いなと願っています。

弁護士 大町英祐