2023
08
25
被告と被告人

「●●被告。●●罪で起訴。」

テレビやネットでこのようなニュースを見かけたことがあるかと思います。
しかし、この場合の「●●被告」という使い方は、正確ではありません。
 
刑事裁判では、検察官に起訴された人のことを「被告人」といいます。
他方、民事裁判では、裁判を起こした人を「原告」、裁判を起こされた人を「被告」といいます。
それにもかかわらず、テレビやネットニュースでは、起訴された人を「●●被告」と呼んでいます。正直その理由はわかりません。
 
民事で裁判を起こされて相談にいらっしゃる方の中には、何も悪いこともしていないのに、何で「被告」と呼ばれなければならないのかとおっしゃられる方もいらっしゃいますので、刑事裁判で起訴された人を「被告」と呼んでいるメディアの影響もあるのかなと感じることもあります。
ちなみに、捜査機関に犯罪の疑いをかけられながらも、起訴されていない人を「被疑者」といいますが、メディアでは「容疑者」という言葉がよく使われています。
 
そのため、「被告」と「被告人」を区別して使用している記事を読んだりしますと、正確に伝えようとされている記者や報道機関の姿勢に、共感を覚えたりします。
 

弁護士 田村 暢健